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衛生管理者のための、法令の基礎知識

資格取得

衛生管理者は「労働安全衛生法」をよく把握しなければなりませんが、法律用語で躓いていませんか。今回は、法律用語に慣れてインプットしやすくなるよう、法律についてみていきます。

法令の位置づけをイメージする


知っておくべき各法令の位置づけを簡単にすると、

法令
日本国憲法…最も強い規範
条約…国同士で締結される国際的な合意
法律…国会の議決により制定される規範
命令…行政機関が制定する規範。政令・省令・条例といった種類がある

政令…内閣が制定した命令のこと
省令…各省の大臣が制定した命令のこと。政令の細かいことを定めている。
(施行規則…省令より下位に位置する法令)
条例…地方自治体(県や市など)が定める地方の規範。

ピラミッド構造にするなら
労働安全衛生法(法律)>労働安全衛生規則(政令)>労働安全衛生規則や特別規則(省令)となる。
※特別規則とは、「有機溶剤中毒予防規則」や「鉛中毒予防規則」が該当する。

法律の略称を知る

法律政令・省令略称
労働安全衛生法(安衛法)労働安全衛生施行令安衛令
労働安全衛生規則安衛則
労働基準法(労基法)労働基準法施行規則労規則

法令に何が書いてあるかを知る

せっかくなので、1で解説したピラミッドのイメージのまま例をあげてみます。
衛生管理者について各法令はどう書かれているかみていきます。
非常に長いですので先に解説すると、
法律では「一定の規模の事業場」と「衛生管理者の選び方」について記載してます。
施行令では「政令で定める事業場について」
規則では、より詳細を定めています。下にスクロールしていくと労働安全衛生規則(安衛則)がいかに細かく定められているか一目瞭然です。

<労働安全衛生法(法律)>
第12条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第10条第1項各号の業務(第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。
2 前条第2項の規定は、衛生管理者について準用する。
<労働安全衛生規則(施行令)>
第4条 法第12条第1項の政令で定める規模の事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場とする。
<労働安全衛生規則(安衛則)>
第7条 法第12条第1項の規定による衛生管理者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。
1 衛生管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任すること。
2 その事業場に専属の者を選任すること。ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合において、当該衛生管理者の中に第10条第3号に掲げる者がいるときは、当該者のうち1人については、この限りでない。
3 次に掲げる業種の区分に応じ、それぞれに掲げる者のうちから選任すること。
イ 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は第10条各号に掲げる者
ロ その他の業種 第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は第10条各号に掲げる者
4 次の表の上欄に掲げる事業場の規模に応じて、同表の下欄に掲げる数以上の衛生管理者を選任すること。

事業場の規模(常時使用する労働者数)
衛生管理者数
事業場の規模衛生管理者の人数
50人以上200人以下
200人以上500人以下
500人以上1,000人以下
1,000人以上2,000人以下
2,000人以上3,000人以下
3,000人を超える場合
1人
2人
3人
4人
5人
6人
5 次に掲げる事業場にあつては、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者とすること。
イ 常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
ロ 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第18条各号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの
6 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から第5号まで若しくは第9号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるものにあつては、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任すること。
2 第3条の規定は、衛生管理者について準用する。
3 事業者は、衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、次に掲げる事項を、都道府県労働局長の免許を受けた者その他第10条各号に定める資格を有する者であることにつき証明することができる電磁的記録を添えて、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
1 第2条第2項第1号から第3号まで及び第8号に掲げる事項
2 衛生管理者の氏名、生年月日及び選任年月日
3 衛生管理者が衛生工学に関するものを管理する者であるか否かの別
4 衛生管理者の担当する職務の内容(複数の衛生管理者を選任した場合にあつては当該衛生管理者ごとに担当する職務の内容)
5 専属であるか否かの別及び他の事業場に勤務している場合はその事業場の名称
6 専任であるか否かの別及び他の業務を兼務している場合はその業務の内容
7 坑内労働又は労働基準法施行規則第18条各号に掲げる業務に常時従事する労働者の数
8 坑内労働又は労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から第5号まで若しくは第9号に掲げる業務に常時従事する労働者の数
9 前任者がいる場合はその氏名及び辞任、解任等の年月日
10 初めて衛生管理者を選任した場合はその旨

(衛生管理者の選任の特例)
第8条 事業者は、前条第1項の規定により衛生管理者を選任することができないやむを得ない事由がある場合で、所轄都道府県労働局長の許可を受けたときは、同項の規定によらないことができる。
(共同の衛生管理者の選任)
第9条 都道府県労働局長は、必要であると認めるときは、地方労働審議会の議を経て、衛生管理者を選任することを要しない二以上の事業場で、同一の地域にあるものについて、共同して衛生管理者を選任すべきことを勧告することができる。
(衛生管理者の資格)
第10条 法第12条第1項の厚生労働省令で定める資格を有する者は、次のとおりとする。
1医師
2 歯科医師
3 労働衛生コンサルタント
4 前3号に掲げる者のほか、厚生労働大臣の定める者
(衛生管理者の定期巡視及び権限の付与)
第11条 衛生管理者は、少なくとも毎週一回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。
(衛生工学に関する事項の管理)
第12条 事業者は、第7条第1項第6号の規定により選任した衛生管理者に、法第10条第1項各号の業務のうち衛生に係る技術的事項で衛生工学に関するものを管理させなければならない。

参照先(法令検索サイトに飛びます)

まとめ

法令は、労働安全衛生法(法律)>労働安全衛生規則(政令)>労働安全衛生規則や特別規則(省令)といった順で構成されており、強い法令ほど大まかに、下にいくほど細かく定められていることがイメージできたと思います。

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