[2025.3.22現在の情報です。]
会社の衛生管理者になったら、まずは最低限こなしておきたいと思うはずです。同じ「義務」という言葉でも、罰則が生じるものとそうでないものがあります。罰則については、労働安全衛生法の第12章にあたり、第115条の3~第123条に記載されています。
衛生管理者に関する第119条と第120条は、当サイトの前編である、
「労働安全衛生法で罰則があるもの【前編:衛生管理者が関係するもの】」に記載します。
つまり、ここでは、ほとんどの企業の衛生管理者は覚える必要はありません。
目次だけ、ふんふんと見てください。
下記に法令を記載しますが、見やすいように漢数字は数字に変換し、なるべくそのまま載せています。
引用先は全て「労働安全衛生法」からです。
- 労働安全衛生法 第115条の3~118条、第121~123条の記載内容
- まとめ
労働安全衛生法 第115条の3~118条、第121~123条の記載内容
対象や罰金に応じて、条が分かれています。
120条は罰金50万、121条は検査や試験機関に対して罰金50万円、122条は罰金、123条は罰金20万円です。
第115条の3…登録製造時等検査機関に対して(重罰・懲役刑)
解説:「登録製造時等検査機関」に対してです。賄賂もデータの改ざんもダメです。
検定検査側の人間になる前でも後でも対象となるようです。悪いことはできません。
この「登録製造時等検査機関等」とは、
①ボイラーやクレーン、圧力釜、エレベーター製造時などの検査・検定をする機関や、
②免許や講習などを行う機関
のことです。覚えておきましょう。
登録製造時等検査機関、登録性能検査機関、登録個別検定機関又は登録型式検定機関の役員又は職員が、その職務に関して、賄賂ろを収受し、要求し、又は約束したときは、5年以下の懲役に処する。これによつて不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたときは、7年以下の懲役に処する。
第116条…製造禁止の化学物質を製造等した場合(懲役3年・300万円以下)
第55条の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
解説:黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンなどの物質を製造したり許可なく使ったりした場合です。対象物質の詳細は「労働安全衛生法施行令」の第16条に記載されています。
第117条…無許可での製造、信用低下の行為(懲役1年・100万円以下)
①第37条第1項、②第44条第1項、③第44条の2第1項、④第56条第1項、⑤第75条の8第1項(第83条の3及び第85条の3において準用する場合を含む。)又は第86条第2項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
①などの丸数字は私が勝手につけてるものです。
解説:
①ボイラーやクレーンなどの特定の機械を、②小型のボイラーや小型の圧力釜の機械を、③防毒マスクや絶縁用防具を、④ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤などの物質(詳細は労働安全衛生法施行令の第17条)を、以上①~④を許可なく製造、
⑤指定試験機関は漏らす
⑥コンサルタントの信用を失う行為をする の行為を行ったら罰則です。
第118条…登録製造時等検査機関に対して(懲役1年・罰金100万円以下)
解説:登録製造時等検査機関に従事している人が処分を受けてるのに、その業務に従事したり、登録製造時等検査機関が規定違反をすると罰則があります。
第53条第1項(第53条の3から第54条の2まで及び第77条第3項において準用する場合を含む。)、第54条の6第2項又は第75条の11第2項(第83条の3及び第85条の3において準用する場合を含む。)の規定による業務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした登録製造時等検査機関等の役員又は職員は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第121条…登録製造時等検査機関等に対して(罰金50万円以下)
いずれかに該当する、その違反行為をした「登録製造時等検査機関等の役員又は職員」は、50万円以下の罰金に処する。
解説:この条文は、登録製造時等検査機関等に対してです。
第121条第1項…登録製造時等検査機関のみ
第49条(第53条の3から第54条の2まで及び第77条第3項において準用する場合を含む。)
製造時等検査の業務を休止する場合の届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
第121条第2項…指定試験機関のみ
第75条の10(第83条の3及び第85条の3において準用する場合を含む。)の許可を受けないで試験事務若しくはコンサルタント試験事務の全部又は登録事務を廃止したとき。
第121条第3項…労災が起きたときの調査
第96条第3項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
解説:労災が起きて、独立行政法人労働者健康安全機構の調査が入る場合の時の規定です。
おそらく、製造検査をした直後に、顧客側で労災が起きた場合のデータを見るのだと思います。
第121条第4項…労基署から報告を求められた時
第100条第2項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をしたとき。
解説:労基署から登録製造時等検査機関等が、報告を求められた時の規定です。
第121条第5項…帳簿を正しく管理していない時
第103条第2項の規定による帳簿の備付け若しくは保存をせず、又は同項の帳簿に虚偽の記載をしたとき。
解説:登録製造時等検査機関、登録性能検査機関、登録個別検定機関、登録型式検定機関、検査業者、指定試験機関、登録教習機関、指定コンサルタント試験機関又は指定登録機関に対する事項です。
第122条…企業・事業主全てに対して(両罰規定)
解説:いわゆる「両罰規定」を定めています。行為者だけでなく、法人や事業主、双方に責任を持たせる意味合いがあります。事業主は明確な指示をしていなくても責任を持つことになります。
人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第116条、第117条、第119条又は第120条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
第122条2…安全衛生コンサルタントに対して(50万円以下)
解説:「日本労働安全衛生コンサルタント会」という文字を使った一般社団法人に対する事項です。
いずれかに該当するときは、その違反行為をしたコンサルタント会の理事、監事又は清算人は、50万円以下の罰金です。
第1項 第87条第3項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
第2項 第87条第5項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による命令に違反したとき。
第123条…登録製造時等検査機関・独立行政法人労働者健康安全機構に対して(20万円以下)
下記に該当する者は、20万円以下の罰金です。
第123条第1項…登録製造時等検査機関に対して
第50条第1項(第53条の三から第54条の2まで及び第77条第3項において準用する場合を含む。)の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに第50条第2項(第53条の3から第54条の2まで及び第77条第3項において準用する場合を含む。)の規定による請求を拒んだ者(外国登録製造時等検査機関等を除く。)
第123条第2項…独立行政法人労働者健康安全機構に対して
機構も違反行為で罰金刑です。
機構が第96条の3の規定による命令に違反した場合におけるその違反行為をした機構の役員
まとめ
労働安全衛生法の第115条の3~118条、第121~123条は、大半が、製造時の検査や試験機関に対しての条文であることが分かったと思います。ただし、第122条は事業主に対しての両罰規定であるため、所長クラスの役職者は覚えておく必要があります。
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